2017年7月31日
月ヶ瀬では毎年七月になると、烏梅(うばい)づくりが始まります。
烏梅とは、梅の実を燻して天日干しさせたもの。
紅花染の発色剤として用いられ、かつては盛んに作られてきましたが、化学染料の普及等により、現在製造を続けているのは、全国でも月ヶ瀬にたったの一軒、中西家だけになりました。
烏梅づくりは完熟の梅を集める作業から始まります。月ヶ瀬梅渓保勝会の協力のもと、月ヶ瀬で管理されている梅の木からたくさんの梅を届けてもらいます。
今年も烏梅づくりの時期になると、地域内外からたくさんの方が中西さんの元を訪れました。奈良県文化財保護課の撮影をはじめ、月ヶ瀬小学生の烏梅づくり体験、月の学校からも見学ツアーが実施されました。
伝統技術が見直されている中、日本の伝統色を支える烏梅が改めて注目されています。
毎年、半夏生の日に氏神天神にお参りし、烏梅づくりが始まります。先代の中西喜祥さんから製造方法を学んだ喜久さん・邦子さん夫妻。月ヶ瀬の文化や歴史、そして地域の方々からのサポートへの感謝の気持ちを持ちながら、技術を継承しています。
「月ヶ瀬では梅林を守り続けている人たちがおり、最近は少なくなっているススも伊賀から提供いただいたりと、色々な人に支えられています。烏梅は紅花染めと深く結びついています。少なくはなっているけれど、日本各地で伝統を残している紅花染めの職人のためにも、この仕事を続けていきたいです。」