「猫背や巻き肩、姿勢の悪さは、遺伝のせいでも個性でも何でもない」
日本人の特徴に、前方に背中が丸まったような、肩や腕が身体の中心より前に出ているような姿勢があると、世間では考えられています。
ですが、この特徴は、生まれつきや、元々の姿勢、ご家族に似た、というわけではありません。にもかかわらず、
「今は個性の時代。姿勢や体型について、どうのこうのいうなんて、モラルの欠片もない。」
と、見た目に関して、個人の意見を言うことは、タブー視される傾向にあります。
今から、猫背や巻き肩がなぜ悪いか、正さなければならないかについて説明いたします。
「肩甲骨が広がっている、上がっていると、良いことは何もない」
・呼吸を正しく行うことが出来ない
本来の位置に肩甲骨がなく、広がっていたり、上がっていたりすると、その分の肩甲骨の重み、肩甲骨の動きがない影響により、常に肺を押さえつけているような形になります。
そうすると、いくら大きく息を吸い込んでも、肺をふくらますことが出来ないので、常に酸素が足りていない状態になります。
人間にとって酸素を身体に入れることはとても重要なことです。身体の色々な細胞の中には、酸素を使ってエネルギーを作ってくれている場所があるので、酸素が足りていない場所は上手く働いてくれないばかりか、最悪の場合その部分だけ、お空に旅立ってしまうことになります。
試しにあなたは、何秒間呼吸を止めていられますか?酸素が届いていないところは、常に息苦しい状態になります。知らず知らずの内に、あなたはあなたの身体にそんなキツイ仕打ちをしているんですよ!
他にも、血液のめぐりが悪くなるので、筋肉が硬くなりやすくなるので、肩こりや腰痛の原因になったり、普段の血液の流れが遅くなっているので、急に温められるとスピードが速くなるので、頭痛の原因になったりします。
近頃は健康のためや、お医者さんのすすめ等でジョギングやウォーキングをする方が増えていますが、いくら心臓や肺を鍛えようとしても、むしろ正しく息呼吸が出来ていないので、身体を痛めることに成りかねません。
・肩の怪我や四十肩、五十肩等の原因になったりする
一度、肩甲骨が広がって上がったまま身体になじんでしまうと、ちょっとやそっとのストレッチやアップをしても、十分な可動域を得ることができません。要するに、本来の伸びたり縮ませたりする動きは出来なくなり、大きく肩を回せなくなります。
すると、どうなるか?肩関節はひじ、ひざなどのような、ただ曲げ伸ばしが出来るだけの関節ではなく、大きく回したり、色々な方向に動かしたりすることが出来る関節です。この器用な動きが出来なくなっている状態で、「出来る」前提で動いてしまうと、例えば立ったり走っていて、バランスを崩して手を地面についてしまったりすると、外れはしないまでも大きく痛めてしまうことは、想像に難しくないと思います。
また、肩を動かす時には、触って確かめることの出来る筋肉(アウターマッスル)だけでなく、触って確かめることの難しい筋肉(インナーマッスル)の働きが重要ですが、このインナーマッスルは胸を張った状態でなければ上手く使えない、つまり猫背や巻き肩では十分に働かない筋肉です。
肩のインナーマッスルが十分に使えない状態で、無理矢理、肩を上げれば痛みが出ます。これが四十肩や五十肩というわけです。これに対する策を何もせず、肩を上げ続ければ、インナーマッスルが傷つく可能性があります。
肩のインナーマッスルは両肩に4本ずつありますが、1本でも使えなくなれば、肩が上がらなくなり、手術しなければ元に戻ることはありません。
・スマホ首(ストレートネック)が更にひどくなる
現代人で、スマートフォンやパソコンに触れない人は、ほぼ見なくなりました。ほんの少し前までストレートネックと呼ばれていた、いわゆるスマホ首ですが、本来、首は適度に前カーブを描いていないといけません。
人間の頭の大きさと重さは、ボーリング球と同じ位であり、少しでも前に首が傾いてしまえば、身体はバランスを保てなくなり、主に筋肉に不要な負担をかけることになります。
それだけでも十分なダメージなのに、直接、首を支えている肩甲骨が正しい位置になければ...あとは、私から言うまでもないでしょう...
「まずは、どれくらい肩甲骨が悪いのか、ご自身で体感しましょう」
他にも、身体の他の部分が歪む、ダメージを負う等の問題が出てきますが、まずは百聞は一見に如かず。どれだけ肩甲骨が正しい位置にないか、どのくらい動かす幅が小さくなっているか確かめてみましょう。
施術の中には、「正しく呼吸が出来ているかチェック」も含まれています。ご自分が普段、どのくらい酸素を取り込めていないか、ご自身で確かめてみるだけでも、受けてみる価値ありです!