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生成と多重視点(マルチ・パースペクティブ)の仏教学:「論争」から考える日本仏教の思想 第八回
概要
この講義では、様々な「視点」(パースペクティブ)とその切り替えを鍵に、日本仏教の思想について考えてみたいと思います。
例えば真言密教と空海、専修念仏と法然などが分かりやすいですが、我々はしばしば、個別の仏教思想と僧個人の密接な繋がりを前提に仏教の歴史を考えます。しかし、それこそ真言密教を空海の思索や内面の産物とするように、それぞれの思想を個々の僧に還元してよいか疑問は尽きません。
それは、決して歴史的な「視点」ではなく、むしろ近代の我々が考案した思想史の「視点」なのではないでしょうか?詳しくは講義内で紹介しますが、そのような我々の近代の「視点」を打ち砕く歴史的な物証は、既に多数発見されています。
したがって、むしろ次のように考えるべきかも知れません。
奈良・平安から江戸・明治までの日本仏教の歴史をふりかえるに、それまでにない斬新な仏教理解が登場する背景として、常に僧達の「多重視点」(マルチ・ペースペクティブ)が存在しました。その「多重視点」の交差から、真言密教も、天台本覚思想も、専修念仏も、純粋禅も生成してきました。(あるいは、我々の「多重視点」も交差し、新たな仏教の理解を生成し続けているのかも知れません。)
僧達の「多重視点」がもっとも鮮明に観察できる事象がなにかといえば、彼らの間の「論義」「談義」、広義の「論争」でしょう。インドや中国、チベットと同じく、日本の仏教にも長い論争の歴史があります。それは奈良から平安時代の初めにかけて輸入された「空有の諍論」に始まり、中世の諸宗の組織的で洗練された論義の伝統、そして近世のキリスト教を対象とする異端論争へつながっていきます。
この講義では、上に述べた「視点」や「多重視点」をキーワードに日本仏教の論争の歴史を概観し、その思想の生成の局面についてお話します。
最後に、ポイントとなる日本仏教史の論争を紹介しておくと次の通りです。
①奈良末から平安初期にかけての教学論争(徳一、空海、最澄、安然が関わった論争)
②鎌倉~南北朝期の論義、問答
③室町~江戸期の宗論(キリスト教を相手とする論争)
担当講師
亀山隆彦(龍谷大学非常勤講師)
参考図書
春日直樹編『現実批判の人類学―新世代のエスノグラフィへ』(世界思想社、2011年)
末木文美士『日本仏教史 思想史としてのアプローチ』 (新潮文庫、1996年)
末木文美士『平安初期仏教思想の研究 安然の思想形成を中心として』(春秋社、2006年)
藤井淳『空海の思想的展開の研究』(トランスビュー、2008年)
師茂樹『論理と歴史 東アジア仏教論理学の形成と展開』(ナカニシヤ出版、2015年)
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ『食人の形而上学: ポスト構造主義的人類学への道』(洛北出版、2015年)
マリリン・ストラザーン『部分的つながり』(叢書人類学の転回、水声社、2015年)
マルティン・レップ編『問答と論争の仏教―宗教的コミュニケーションの射程』(法蔵館、2012年)
学割
当日学生証をお持ちの方には、①半額(一人1,000円)もしくは②友割(三人まで1,000円)を適用します。「当日現地払い」でご予約いただき、当日受付でお申し出ください(人数把握の都合上、友割の場合も全員ご予約ください)。
予約受付中事前決済可現地支払可
三島由紀夫『豊饒の海(三)暁の寺』の仏教教理部分だけを読む(講師:師茂樹)
概要
三島由紀夫の『豊饒の海 (三) 暁の寺』では、全巻を通じて登場する重要人物・本多繁邦が、輪廻転生に関する東西の思想の研究に没頭していた様子が描かれています。その中で仏教思想、特に唯識思想についての比較的長い叙述が見られますが、「唯識は仏教の重要な思想であり、三島はこれをストーリー展開の中心に据えて『豊饒の海』を執筆したが、その難解さゆえに、従来の三島研究において敬遠されてきたテーマである」とのことです(井上隆史『三島由紀夫 幻の遺作を読む~もう一つの『豊饒の海』~』)。本講義を担当する師茂樹は、文学研究についてはまったくの素人ですので、文学的な面白さなどについては(素人的な感想程度しか)お話しできませんが、仏教研究者として『暁の寺』で述べられている仏教教理について解説することはできます。いささか中途半端な講義になるかとは思いますが、そのような解説を聞きたいという声が少なくなかったこともあり、開講することにしました。ご興味のある方はお付き合いいただければ幸いです。
※ 講義では、作品全体の通読はせず、仏教教理の部分のみを拾い読みしますので、事前に通読してきていただければ幸いです。
参考文献
三島由紀夫『豊饒の海(三)暁の寺』(初版:新潮社、1970年。新潮文庫 などで刊行)
井上隆史『三島由紀夫 幻の遺作を読む~もう一つの『豊饒の海』~』(光文社新書、2010年)
学割
当日学生証をお持ちの方には、①半額(一人1,000円)もしくは②友割(三人まで1,000円)を適用します。「当日現地払い」でご予約いただき、当日受付でお申し出ください(人数把握の都合上、友割の場合も全員ご予約ください)。
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『成唯識論』を読む(講師:師茂樹)
概要
『成唯識論』(じょうゆいしきろん)は、唯識思想を大成したとされる世親(ヴァスバンドゥ)の『唯識三十頌』に対する注釈書を、三蔵法師・玄奘(602-664)が編集・翻訳したとされる文献です。冒頭(第1〜2巻)で我(アートマン)と法(ダルマ)の実在を主張する諸説を徹底的に批判したあと、唯識思想の大きな特徴である八識説、すなわちアーラヤ識(第2〜4巻)、マナ識(第4〜5巻)、六識(眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識)と煩悩などの心所法(第5〜7巻)について説明されます。続いて、あらゆるものが識を離れないこと(一切唯識)について説明され(第7〜8巻)、空思想の唯識思想的説明である三性・三無性説が説かれます(第8〜9巻)。そして最後の第10巻では、修行の階梯が明らかにされます。
東アジアにおける唯識思想はこの『成唯識論』の注釈・解釈を中心に発展しました。前近代の日本仏教において大きな勢力を持っていた興福寺が、根本聖典の一つとしていたことでも知られています。東アジア仏教、日本仏教を考える上で大変重要な文献です。
これほど重要なテキストでありながら、現在のところ『成唯識論』を手軽に読めるような状況ではありません。本講義は、『成唯識論』の通読を試みるものです(したがって、全何回になるかはわかりません)。あまり細かい議論を追いかけることはせず、最後までたどり着くことを目指します。
※ テキストは講師が用意します。
参考文献
佐伯定胤校『新導成唯識論』(法隆寺)
岩田教圓編『仏教大系 成唯識論 会本』(中山書房仏書林)
太田久紀『成唯識論要講 護法正義を中心として』第1〜4巻(中山書房仏書林、1999〜2000年) ※『成唯識論』の重要部分を中心に解説。
廣澤隆之『『唯識三十頌』を読む』(大正大学出版会、2005年) ※『成唯識論』の元となった『唯識三十頌』を解説。
学割
当日学生証をお持ちの方には、①半額(一人1,000円)もしくは②友割(三人まで1,000円)を適用します。「当日現地払い」でご予約いただき、当日受付でお申し出ください(人数把握の都合上、友割の場合も全員ご予約ください)。
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