＝＝＝　小さな劇場です。ご来場は事前予約をおすすめします　＝＝＝

CINEMA Chupki TABATA（シネマ・チュプキ・タバタ）

目の不自由な人も、耳の不自由な人も、どんな人も一緒に映画を楽しめるユニバーサルシアター。たくさんの人々の募金によって、日本一小さくて、日本一やさしい映画館が、2016年9月1日。東京都北区田端にOPENしました！新旧とりまぜて、選りすぐりの映画を上映しています。

■□■□-----------------

　新型コロナウィルス感染防止のため、下記の対策を実施いたします。
　みなさまに安心して映画をお楽しみいただくために、ご理解とご協力をお願いいたします。( 2023.4/16更新 ）

■席数・ご予約について■
2022年4月1日より、全席開放します（全20席）
小さな劇場ですので、ご来場の際はご予約をお勧めします！

この予約サイトでご鑑賞日時を予約
　　↓
当日受付でお支払い（現金・クレジット・交通系マネー）
　　↓　
受付時に席を選択いただきます。受付が終わりましたら上映時刻までにご着席ください。映画は本編よりスタートします。


◉ご予約・ご来場前に◉
（１）お客様のマスク着用は任意とさせていただきます。
咳・くしゃみをする際は、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえるなど、飛沫防止にご協力をお願いいたします。
（２）以下の場合はご来場をお控えください。
・発熱や、せき症状、咽頭痛などの症状がある場合。
・新型コロナウィルス感染症の陽性と判明した人との接触がある場合。
・同居家族や身近な知人の感染が疑われる場合。
（３）ご予約のキャンセルについて
ご鑑賞日当日（２）に該当する場合、急用などで来られなくなった場合は、
キャンセルのお手続きをお願いします。（キャンセル料はかかりません）
キャンセルは予約完了後、自動で届くメールの一番下から手続きできます。
メールが見当たらない、操作がわからない場合はお電話でも承ります。
03-6240-8480（初回上映の30分前開店・水曜定休）


◎営業時間 
・10:00〜21:00  （その月の上映作品による）
　＊最初の回上映開始時間の30分前が開店時間となります。
・水曜定休

◎チケット料金　
一般 1,500円／シニア（60才以上）1,100円／学生・ユース(22才以下) 1,000円／中学生以下 500円／   チュプキ・サポーター・クラブ会員（一般1,300円、シニア1,000円）
※特別興行により、料金が変わる作品もあります。

・ムビチケはご利用いただけません

【チュプキ・サポーター・クラブ】
・詳細、お申し込みはこちらをご確認下さい。http://chupki.jpn.org/support
・会員カードの提示により、一般1,500円→ 200円引き、シニア1100円→100円引きで、ご鑑賞いただけます。
　ただし、ゲストによる舞台挨拶・トークショー、ライブ付きなどの特別上映時は割引対象外です。

※12チケットカードは2021年8月31日に販売終了しました。
　お持ちの12チケットカードは、無期限でご使用いただけます。


◎ご入場に際するご注意
●各回入替制
●チケットは当日販売いたします。
●お席は当日先着順の自由席となっております。→入場方法を変更しました（2021.5/13）
予約サイトでご鑑賞日時を予約　→当日受付にてお支払い・座席を指定　→上映時間までにご着席ください。
※映画の予告編は入れ替え時間に上映しています。
※最後列は木製のチェアーとなります。
●上映開始５分前になってもご予約のお客様がいらっしゃらない場合は、当日ご来場の方にお席をご案内します。 ご来場が遅れる場合はご連絡をお願いします。通路が狭いので、ご案内しやすい椅子にお座りいただく場合もございます。
●予約をしたけれど来られなくなった場合には、必ずキャンセルのご連絡をお願いします。
●駅からの誘導、手話サポート、親子室や車いすスペースのご利用をご希望の方は、３日前までにご予約をお願いします。


◎劇場設備
・映写設備　NEC/NC1000C　DCP・BD・データ上映
・スクリーンサイズ　120インチ（16:9）ホワイトスクリーン
・音響設備　360℃音に包まれるフォレストサウンド（11.1チャンネルスピーカー搭載）
・座席：20席（車いすスペース有り）
※最後列5席は木製のチェアーとなります。


★ユニバーサルシアターとは
目の不自由な人も、耳の不自由な人も、車いすの人も、発達障害のお子さんや、小さなお子様連れのママたちも。だれもがいつでも安心して、一緒に映画を楽しむことのできる、すべてのお客様を対象とした映画館です。

◎イヤホン音声ガイド付き
（座席に搭載されたイヤホンで、いつでも場面解説の“音声ガイド”を聴くことができるので、視覚に障害のある方でも、一緒に映画をお楽しみいただけます。
また、イヤホンで本編の音の増幅もできるので、難聴の方にもご利用いただけます。）

◎日本語字幕付き
（日本映画の上映時にも、日本語字幕付き上映をいたします。聴覚に障害のある方も、一緒に映画をお楽しみいただけます。）

◎車椅子スペースの設置
（入口からトイレ、客席までバリアフリーで、車いすのまま映画をご鑑賞いただけます。）

◎親子鑑賞室の設置
（人の大勢いる場所が苦手な方、大きな音や、真っ暗な空間が苦手な方、小さなお子様をお連れの方も、鑑賞室で安心して映画をお楽しみいただけます。）

※ その他にも、お客様の多様なニーズに応えていけるやさしい映画館を目指しています。

支配人・和田 - 本日は平松監督に来ていただきました！では早速、この映画のいきさつから、お話を…

監督 - この映画の原作になったルポルタージュみたいなものがあるんですが、それが1980年頃に作られたものなんですね。映画の原作にするために作ったルポルタージュなんですが、当時、予算とかいろんな事情があって、結局映画化に至りませんでした。そのとき映画化の企画を立てた鳥居さんという方が、いつか映画化したいなって思い続けていたんですね。
今から6年くらい前ですかね、鳥居さんが、今の子どもたちはとても危機的な状況に置かれていると危機感を抱いたんです。虐待ですとか、ネグレクト、それから自殺とか、大切な命がないがしろにされていると思われて、もしかしてこの映画は子どもたちにも響くんじゃないか？という風に考えられて、映画化の話が私のところに巡り巡ってやってきた。
というのがおおもとのきっかけですね。そのときに原作を初めて読んだんですが、学童疎開については知っていましたが、疎開保育があったということは初めて知りました。お母さんと一番一緒にいたい４歳くらいの保育園児たちを、その命を守りたい一心で疎開させた。しかもそれを成し遂げた人たちが、20代前半の若い若い保母さんたちだったところがすごいと思いました。
偉い人が疎開させなさいと言って実行するのはたやすいことだと思うんですが、そうじゃなくて、権力のない、でも一番子どもたちのことをよく知ってる現場の保母さんたちが、やりましょうって言って、お父さんお母さんを説得して、上司も説得して、それから疎開先の村の人にも頭下げてやりとげたっていうのが、すごいなって。私も胸を打たれて、頑張って映画化に踏み切ったというわけです。


- ほんとに今の時代に必要なものが詰まってる映画だと拝見させて頂いたときに思いました。制作での撮影秘話はございますか？

監督 - 何と言っても、子どもたちがいっぱい出てくる映画で、たぶん日本映画を振り返っても、向こう何十年もこんなにちっちゃい子がたくさん出てきて芝居に関わってるっていうのはないと思います。断言します私。

- めちゃくちゃ出てきますもんね笑

監督 - めちゃくちゃ出てくるんですよね。子どもたちってね、ちょっとしたことで、つい3分前までにこやかに笑ってた子が泣くとかあるし、それこそ映画の中でもありましたけど、おしっこしたいって言ったら私もぼくもーって大騒ぎになって、その子たちみんなに靴はかせてお便所に連れて行って、それからまた撮影現場まで連れてきて靴脱がせて、これで20分とか30分あっという間に経っちゃって…

- 撮影が進みませんね…（笑）本編にもあったように、かわいいけど、ちょっと「おいー！」って思うときとか…

監督 - いっぱいありました。逆に言うと、その子どもたちが中心にいるから、もうスタッフも、戸田さん大原さんはじめキャストも、普通の現場と同じつもりじゃ進まないっていうのがよくわかったので、そういう意味では、今までこんなに一致団結したことはないんじゃないかと思われた現場でした。

- すごい数ですもんね。ここはちなみにどこで撮られたんですか？

監督 - これは京都で撮りました。

- そうだったんですね。京都の子たちが京都の撮影所に行って撮られたってことですか？

監督 - そうですね、松竹撮影所というのがあるんですが、そこに毎日親御さんたちが子どもたちを連れてくるんです。例えば、今日は20人出ますとなると、20人の親御さんたちが子どもたちを連れてきて、半分くらい親御さんたちは帰る。いったんお帰りくださいって。帰ってもらって、10人なら10人の親御さんたちで20人を見てもらう。

- リアル保育園じゃないですか（笑）

監督 - そうそう。撮影が終わる頃に、また迎えに来る。

- 大変でしたねえそれは…京都のなまり全然なくて標準語に聞こえたりして、子どもたちもすごい頑張ってこられたんだなあって感じました。…いろんな方が来ているのでQ&Aにいきましょうか。



監督 - ちょっとね、私からひとつだけ聞きたい…あの、小学生かな？中学生？のお子さんが来てるので、どうして来たか教えて？

お客様1（中学生） - 戸田恵梨香さんが好きで…

監督 - えー！戸田恵梨香さんが好きで？どうだった？

お客様1（中学生） - かわいかった。

- かわいいよね、わかるー！隣の子は？

お客様2（中学生） - 同じ。

- 戸田恵梨香さん。映画はどうでしたか？

お客様2（中学生） - 面白かった。

- そっかそっか。ほかにも高校生の子が来ていたりとか、視覚障害者の方もいらっしゃるので…


監督 - そうですね、今日もし初めてだったら…

お客様3（視覚障害者） - そうですね、人が死んでしまう映画はちょっと、人前で見るのは恥ずかしいくらいなので、なるべく避けてたんですけど…

- 泣いてしまうからですか。

お客様3（視覚障害者） - そう、映画見た後恥ずかしいじゃないかって思っちゃうんですけど、

- 泣いてください、いっぱい！

監督 - 恥ずかしくないです、泣くのは。

- そうでしたか。泣いちゃいましたかやっぱり。

お客様3（視覚障害者） - 泣きましたね。だいぶ我慢したんですけど（笑）、我慢しきれなくて…やっぱりその、子どもにとって親って一番の存在のはずなのに、自分が子どものときってほんとになんか親が一番なので、そこから外されちゃうっていうだけでも悲しいよねえ、死んでしまったって聞かされるってどうなんだろうって…想像できないって思うんだけど、でも、そういうことでもしなきゃならないような状況になってるっていう…ほんとに戦争は追いかけてくるというのを感じました。
やっぱり逃げられないし、防空壕だとかなんだかっていうのも、今から思うとすごい無駄なことをしている…でもそのときはみんなほんとにそう思ってたわけで、正しい知識だったり、最新の情報だったりっていうのも、全然伝わってないので、すごい時代だったなって思いました。

監督 - ありがとうございました。あの、ほんとにね、平和って尊いんだなっていうのを再認識していただければなって思うし、それを守るためにいろんなことをしていかなきゃいけないんだなっていうことをね、どこかで感じていただけければなって私も願っています。

- そうですね、最近僕も親になったんですけども、身につまされるようなことがすごく詰まっていて、子育て中の方にも見ていただきたいなぁと思いました。チュプキは今日防空壕のようにぎっしりお客様に来て頂いておりますが（笑）まだまだQ&A続きますのでどなたか質問したい方とかいらっしゃいますか。

お客様4 - かえでさんはいくつの設定ですか…？

監督 - これね、いろんな人に聞かれるんですよ。聞かれるんですけど、これは答えないことにしてます。
みなさん想像してください。何才だったらどうだったろうな？と想像してください。
楓さんという人の裏の人生を想像してもらうことが大事で、年齢が何才かということはあんまり大事じゃないという風に思ったので、あえてわからないようにしました。

- ありがとうございます。僕もつい聞いちゃいました。でもやっぱり答えられないということで、みなさんご想像していただければと思います。

お客様5 - 怒りの乙女っていうキーワードがあったと思うんですけども、監督さんのいろんな思いが詰まってると思うので教えてください。

監督 - 私あまりちゃんと怒れないタイプなんです、このへんにマグマはあるんですけど、噴火できない人間なんですね。
私、マグマをちゃんと噴火できる人って偉いなって思うんですよね。
単にヒステリックにわーわー喚くっていうのはダメなんですよ、じゃなくて、正しいところで正しいマグマを噴火させるっていうことってすごく大事だと思うんですね。
ただ今の世の中って怒り慣れていない人と怒られ慣れていない人が、すごく多いと思うんですね。だからちょっとしたことでパワハラとかね、なってしまう。
ほんとのパワハラって確かにあって、それはやっちゃいけないことなんですけども、そうじゃないことまでが、過剰に「これパワハラじゃない？」っていう風になっていくと風通しの悪い世界になっていくと思うんですね。
そういうことに対しての、アンチっていうのがひとつ。それともうひとつは、どうしようもないことって世の中にはあって、それは例えばあの時代でいうと戦争ってことですよね。
それは上から降ってくることであって、自分ではどうしようもできない。いくらやめたいやめたいって下の人間が、庶民たちがそう思っても、いったん始めてしまった戦争っていうのは、国の誰かわからないけど偉い人が、やめましょうっていう風に決断しなきゃ、それまではやめられない。
でもそういう、どうしようもないことに対する怒り、それも持ち続けなきゃいけないんじゃないか私たちは…と。

- そうですね、今の日本のムードは諦めてしまって、仕方がないっていうような空気感はありますが、自分は劇中に出てくる悪あがきっていうワードが、刺さりました。私どもも映画館やってる身として、劇場がどんどん軒並み潰れていきますので悪あがきをさせていただいたような感じはあります。あ、お客様は上映後も結構泣かれてたので、感想お伺いしてもよろしいですか？

お客様6 - 実はあの、ツイッターでも返事をいただいて。保育士をしているんですけども、ほんとに、みっちゃんとか、かえでさんが漏らす言葉だったりとか、出てくる感情だったりとかが、ああ何でこんなに保育士の思ってることがわかるんだろうって思うシーンが多くて、コミカルなシーンでもシリアスなところでも、みっちゃん先生が「私だけの場所だ」って感覚もトイレに入った瞬間思ったりとか、どうして見つけられるんだろうとか、新任の保育士が思う苦悩だったりとか、それを見てる上司としての気持ちだったりとか、自分が今までやってきた保育士のなかの感情がすごく重なる部分があったので、そこをどう監督は、保育士とか保母とか保育園っていうところと関わりがあったというかどう知ってこられたのかなっていうのがすごく不思議で…

- 今のコメントで僕が泣きそうになってるんですけども（笑）

監督 - 脚本を書く前に、まったくタイプの違う保育所、結構自由なところと、管理が厳しいところと、両方に見学に行かせてもらったんですよね。
私は実際には子どももいませんし、子どもとものすごく関係があるわけじゃないんだけど。だからこそ客観的に保育所の様子を眺めて、子どもと大人の関わりを見て、たまには思いがけず私自身巻き込まれたりしながら、こんな場合大変だろうなとか想像されて膨らんで形になってきたという。
あともうひとつ、私、山田洋次監督の作品で助監督を長らくしていたんですが、ずっと子役担当だったんですよ。だから子役たちのわがままとか、子どもなりのいろんなうっぷんとか…監督何で…山田洋次監督ですよ？監督何で頑張ってるのに私写してくれないの！とか、そういうところの気持ちもわかる。いいところで使われる子と、そうじゃない子っているわけですよね、子役がたくさんいると。出られる子はいつも出られる。出られない子はいつも出られない。子どもにだって当然いろんな感情がある。そんな子どもたちとの経験を通して、私が面白いと思ったところを拾い上げて行ったら、こんな形になっていったということかなと思います。

- ありがとうございます。今作は本当に実在しているような、映画から飛び抜けてリアルにいた方々のような素晴らしい作品だなと感じました。『この世界の片隅に』のように100年先まで続けたい、上映して届けたい作品だなと私が思ったのでこのようなプログラムを組ませていただきました。監督、最後にメッセージいただいてもよろしいでしょうか。

監督 - この映画、すごく人の手のかかった映画なんですよね。CGも使っていますが、大半は現場で人と人が一生懸命アナログ的に作り上げた、そういう映画です。この映画館も実はそんな映画館だなぁとずっと思っていて。そういう人の手の温もりみたいなものを感じられる映画館でこの映画を上映してくださったことがすごくうれしいです。ありがとうございます。で、5月31日まで上映していただくってことがまたうれしくて。実は2月22日にこの映画公開したんですが、3か月以上経ってもまだ上映してる映画館があるぞっていうことがすごくうれしいので、今日見に来てくれたみなさま、よろしければまだこんな映画やってるよ、見たことないんじゃないの？みたいなことで、見てみたら？っていう風に声かけてもらえたらうれしいです。もうここはユニバーサルシアターなので、どんな方でも楽しむことができる映画館ですので、本当によろしくお願いします。

- ありがとうございました。本日パンフレットに監督がサインしてくださるそうなので、みなさんぜひお買い求めください。

監督 - あの、サイン要らないよっていう側もいらっしゃると思いますので（笑）

- いらっしゃらないと思います(笑）…本日は平松監督に来ていただきました。ありがとうございました！


支配人・和田 - 本日は平松監督に来ていただきました！では早速、この映画のいきさつから、お話を…

監督 - この映画の原作になったルポルタージュみたいなものがあるんですが、それが1980年頃に作られたものなんですね。映画の原作にするために作ったルポルタージュなんですが、当時、予算とかいろんな事情があって、結局映画化に至りませんでした。そのとき映画化の企画を立てた鳥居さんという方が、いつか映画化したいなって思い続けていたんですね。
今から6年くらい前ですかね、鳥居さんが、今の子どもたちはとても危機的な状況に置かれていると危機感を抱いたんです。虐待ですとか、ネグレクト、それから自殺とか、大切な命がないがしろにされていると思われて、もしかしてこの映画は子どもたちにも響くんじゃないか？という風に考えられて、映画化の話が私のところに巡り巡ってやってきた。
というのがおおもとのきっかけですね。そのときに原作を初めて読んだんですが、学童疎開については知っていましたが、疎開保育があったということは初めて知りました。お母さんと一番一緒にいたい４歳くらいの保育園児たちを、その命を守りたい一心で疎開させた。しかもそれを成し遂げた人たちが、20代前半の若い若い保母さんたちだったところがすごいと思いました。
偉い人が疎開させなさいと言って実行するのはたやすいことだと思うんですが、そうじゃなくて、権力のない、でも一番子どもたちのことをよく知ってる現場の保母さんたちが、やりましょうって言って、お父さんお母さんを説得して、上司も説得して、それから疎開先の村の人にも頭下げてやりとげたっていうのが、すごいなって。私も胸を打たれて、頑張って映画化に踏み切ったというわけです。

- ほんとに今の時代に必要なものが詰まってる映画だと拝見させて頂いたときに思いました。制作での撮影秘話はございますか？

監督 - 何と言っても、子どもたちがいっぱい出てくる映画で、たぶん日本映画を振り返っても、向こう何十年もこんなにちっちゃい子がたくさん出てきて芝居に関わってるっていうのはないと思います。断言します私。
- めちゃくちゃ出てきますもんね笑

監督 - めちゃくちゃ出てくるんですよね。子どもたちってね、ちょっとしたことで、つい3分前までにこやかに笑ってた子が泣くとかあるし、それこそ映画の中でもありましたけど、おしっこしたいって言ったら私もぼくもーって大騒ぎになって、その子たちみんなに靴はかせてお便所に連れて行って、それからまた撮影現場まで連れてきて靴脱がせて、これで20分とか30分あっという間に経っちゃって…

- 撮影が進みませんね…（笑）本編にもあったように、かわいいけど、ちょっと「おいー！」って思うときとか…

監督 - いっぱいありました。逆に言うと、その子どもたちが中心にいるから、もうスタッフも、戸田さん大原さんはじめキャストも、普通の現場と同じつもりじゃ進まないっていうのがよくわかったので、そういう意味では、今までこんなに一致団結したことはないんじゃないかと思われた現場でした。

- すごい数ですもんね。ここはちなみにどこで撮られたんですか？

監督 - これは京都で撮りました。

- そうだったんですね。京都の子たちが京都の撮影所に行って撮られたってことですか？

監督 - そうですね、松竹撮影所というのがあるんですが、そこに毎日親御さんたちが子どもたちを連れてくるんです。例えば、今日は20人出ますとなると、20人の親御さんたちが子どもたちを連れてきて、半分くらい親御さんたちは帰る。いったんお帰りくださいって。帰ってもらって、10人なら10人の親御さんたちで20人を見てもらう。

- リアル保育園じゃないですか（笑）

監督 - そうそう。撮影が終わる頃に、また迎えに来る。

- 大変でしたねえそれは…京都のなまり全然なくて標準語に聞こえたりして、子どもたちもすごい頑張ってこられたんだなあって感じました。…いろんな方が来ているのでQ&Aにいきましょうか。


監督 - ちょっとね、私からひとつだけ聞きたい…あの、小学生かな？中学生？のお子さんが来てるので、どうして来たか教えて？

お客様1（中学生） - 戸田恵梨香さんが好きで…

監督 - えー！戸田恵梨香さんが好きで？どうだった？

お客様1（中学生） - かわいかった。

- かわいいよね、わかるー！隣の子は？

お客様2（中学生） - 同じ。

- 戸田恵梨香さん。映画はどうでしたか？

お客様2（中学生） - 面白かった。

- そっかそっか。ほかにも高校生の子が来ていたりとか、視覚障害者の方もいらっしゃるので…

監督 - そうですね、今日もし初めてだったら…

お客様3（視覚障害者） - そうですね、人が死んでしまう映画はちょっと、人前で見るのは恥ずかしいくらいなので、なるべく避けてたんですけど…

- 泣いてしまうからですか。

お客様3（視覚障害者） - そう、映画見た後恥ずかしいじゃないかって思っちゃうんですけど、

- 泣いてください、いっぱい！

監督 - 恥ずかしくないです、泣くのは。

- そうでしたか。泣いちゃいましたかやっぱり。

お客様3（視覚障害者） - 泣きましたね。だいぶ我慢したんですけど（笑）、我慢しきれなくて…やっぱりその、子どもにとって親って一番の存在のはずなのに、自分が子どものときってほんとになんか親が一番なので、そこから外されちゃうっていうだけでも悲しいよねえ、死んでしまったって聞かされるってどうなんだろうって…想像できないって思うんだけど、でも、そういうことでもしなきゃならないような状況になってるっていう…ほんとに戦争は追いかけてくるというのを感じました。
やっぱり逃げられないし、防空壕だとかなんだかっていうのも、今から思うとすごい無駄なことをしている…でもそのときはみんなほんとにそう思ってたわけで、正しい知識だったり、最新の情報だったりっていうのも、全然伝わってないので、すごい時代だったなって思いました。

監督 - ありがとうございました。あの、ほんとにね、平和って尊いんだなっていうのを再認識していただければなって思うし、それを守るためにいろんなことをしていかなきゃいけないんだなっていうことをね、どこかで感じていただけければなって私も願っています。

- そうですね、最近僕も親になったんですけども、身につまされるようなことがすごく詰まっていて、子育て中の方にも見ていただきたいなぁと思いました。チュプキは今日防空壕のようにぎっしりお客様に来て頂いておりますが（笑）まだまだQ&A続きますのでどなたか質問したい方とかいらっしゃいますか。

お客様4 - かえでさんはいくつの設定ですか…？

監督 - これね、いろんな人に聞かれるんですよ。聞かれるんですけど、これは答えないことにしてます。
みなさん想像してください。何才だったらどうだったろうな？と想像してください。
楓さんという人の裏の人生を想像してもらうことが大事で、年齢が何才かということはあんまり大事じゃないという風に思ったので、あえてわからないようにしました。

- ありがとうございます。僕もつい聞いちゃいました。でもやっぱり答えられないということで、みなさんご想像していただければと思います。

お客様5 - 怒りの乙女っていうキーワードがあったと思うんですけども、監督さんのいろんな思いが詰まってると思うので教えてください。

監督 - 私あまりちゃんと怒れないタイプなんです、このへんにマグマはあるんですけど、噴火できない人間なんですね。
私、マグマをちゃんと噴火できる人って偉いなって思うんですよね。
単にヒステリックにわーわー喚くっていうのはダメなんですよ、じゃなくて、正しいところで正しいマグマを噴火させるっていうことってすごく大事だと思うんですね。
ただ今の世の中って怒り慣れていない人と怒られ慣れていない人が、すごく多いと思うんですね。だからちょっとしたことでパワハラとかね、なってしまう。
ほんとのパワハラって確かにあって、それはやっちゃいけないことなんですけども、そうじゃないことまでが、過剰に「これパワハラじゃない？」っていう風になっていくと風通しの悪い世界になっていくと思うんですね。
そういうことに対しての、アンチっていうのがひとつ。それともうひとつは、どうしようもないことって世の中にはあって、それは例えばあの時代でいうと戦争ってことですよね。
それは上から降ってくることであって、自分ではどうしようもできない。いくらやめたいやめたいって下の人間が、庶民たちがそう思っても、いったん始めてしまった戦争っていうのは、国の誰かわからないけど偉い人が、やめましょうっていう風に決断しなきゃ、それまではやめられない。
でもそういう、どうしようもないことに対する怒り、それも持ち続けなきゃいけないんじゃないか私たちは…と。

- そうですね、今の日本のムードは諦めてしまって、仕方がないっていうような空気感はありますが、自分は劇中に出てくる悪あがきっていうワードが、刺さりました。私どもも映画館やってる身として、劇場がどんどん軒並み潰れていきますので悪あがきをさせていただいたような感じはあります。あ、お客様は上映後も結構泣かれてたので、感想お伺いしてもよろしいですか？

お客様6 - 実はあの、ツイッターでも返事をいただいて。保育士をしているんですけども、ほんとに、みっちゃんとか、かえでさんが漏らす言葉だったりとか、出てくる感情だったりとかが、ああ何でこんなに保育士の思ってることがわかるんだろうって思うシーンが多くて、コミカルなシーンでもシリアスなところでも、みっちゃん先生が「私だけの場所だ」って感覚もトイレに入った瞬間思ったりとか、どうして見つけられるんだろうとか、新任の保育士が思う苦悩だったりとか、それを見てる上司としての気持ちだったりとか、自分が今までやってきた保育士のなかの感情がすごく重なる部分があったので、そこをどう監督は、保育士とか保母とか保育園っていうところと関わりがあったというかどう知ってこられたのかなっていうのがすごく不思議で…

- 今のコメントで僕が泣きそうになってるんですけども（笑）

監督 - 脚本を書く前に、まったくタイプの違う保育所、結構自由なところと、管理が厳しいところと、両方に見学に行かせてもらったんですよね。
私は実際には子どももいませんし、子どもとものすごく関係があるわけじゃないんだけど。だからこそ客観的に保育所の様子を眺めて、子どもと大人の関わりを見て、たまには思いがけず私自身巻き込まれたりしながら、こんな場合大変だろうなとか想像されて膨らんで形になってきたという。
あともうひとつ、私、山田洋次監督の作品で助監督を長らくしていたんですが、ずっと子役担当だったんですよ。だから子役たちのわがままとか、子どもなりのいろんなうっぷんとか…監督何で…山田洋次監督ですよ？監督何で頑張ってるのに私写してくれないの！とか、そういうところの気持ちもわかる。いいところで使われる子と、そうじゃない子っているわけですよね、子役がたくさんいると。出られる子はいつも出られる。出られない子はいつも出られない。子どもにだって当然いろんな感情がある。そんな子どもたちとの経験を通して、私が面白いと思ったところを拾い上げて行ったら、こんな形になっていったということかなと思います。

- ありがとうございます。今作は本当に実在しているような、映画から飛び抜けてリアルにいた方々のような素晴らしい作品だなと感じました。『この世界の片隅に』のように100年先まで続けたい、上映して届けたい作品だなと私が思ったのでこのようなプログラムを組ませていただきました。監督、最後にメッセージいただいてもよろしいでしょうか。

監督 - この映画、すごく人の手のかかった映画なんですよね。CGも使っていますが、大半は現場で人と人が一生懸命アナログ的に作り上げた、そういう映画です。この映画館も実はそんな映画館だなぁとずっと思っていて。そういう人の手の温もりみたいなものを感じられる映画館でこの映画を上映してくださったことがすごくうれしいです。ありがとうございます。で、5月31日まで上映していただくってことがまたうれしくて。実は2月22日にこの映画公開したんですが、3か月以上経ってもまだ上映してる映画館があるぞっていうことがすごくうれしいので、今日見に来てくれたみなさま、よろしければまだこんな映画やってるよ、見たことないんじゃないの？みたいなことで、見てみたら？っていう風に声かけてもらえたらうれしいです。もうここはユニバーサルシアターなので、どんな方でも楽しむことができる映画館ですので、本当によろしくお願いします。

- ありがとうございました。本日パンフレットに監督がサインしてくださるそうなので、みなさんぜひお買い求めください。

監督 - あの、サイン要らないよっていう側もいらっしゃると思いますので（笑）

- いらっしゃらないと思います(笑）…本日は平松監督に来ていただきました。ありがとうございました！


CINEMA Chupki TABATA

『あの日のオルガン』平松恵美子監督が舞台挨拶してくださいました！

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