9/2(土)『光』水崎綾女さん、松田高加子さん舞台挨拶

2017年9月11日

シネマ・チュプキの運営母体であるCity Lights(シティ・ライツ)が、映画の制作に深く関わった映画『光』と、その劇中映画『その砂の行方』の上映後舞台挨拶を9月2日(土)、主演の水崎綾女さんと、本作の音声ガイドを監修したパラブラ株式会社の松田高加子さんを招いて開催致しました。


ゲスト:水崎綾女さん…劇中ヒロイン美佐子役(水崎)

    松田高加子さん…劇中音声ガイド監修:パラブラ株式会社(松田)

進 行:平塚千穂子…CINEMAChupkiTABATA代表(-)



-シティ・ライツは、2001年から視覚障碍者のための映画鑑賞にあたり、音声ガイドをつくってきた団体です。私は、撮影監修というかたちでこの『光』に関わらせていただきました。それでは主演の水崎綾女さんと、音声ガイドの監修に携わった松田高加子さん。どうぞお入りください。


(場内拍手)


水崎:…お客さんと凄い近いですね(笑)


-近いですよ。もう、ちっちゃな映画館なので(笑)じゃぁ、どうぞお座りください。水崎さんは映画に出られていたのでお客さんも分かりますけど、松田さんはどういう方なのか分からない(笑)と思います。松田さん、この映画にどのように関わったのかを教えていただけますか?


松田:音声ガイド製作者(以下、ディスクライバー)の松田高加子といいます。シティ・ライツは古株(笑)で、今はパラブラ株式会社で、音声ガイドのお仕事をしております。


-松田さんは、この映画の河瀬監督がこの作品をつくるきっかけを作った方なのです。ちょっとその辺りをお話いただいてもよろしいですか?


松田:前作『あん』をDVD化する際に音声ガイドをつけるというご要望があったのがきっかけです。私たちは東京ですが、監督は遠い奈良にお住まいなので、製作した音声ガイドの内容をご確認いただくために、Excelでつくった原稿に確認いただくべき内容を加えてメールでお送りしたら、監督から「これは正しいです」、「これはこうしてほしいです」とかそのようにやりとりをしていました。収録が全て終わり、はいパッケージに入りますといった段階で、監督のアシスタントの方からお電話をいただきました。私は、監督は怖い人だと思ってたので「やっぱり気に入りませんでした」と言われるかもと思って(笑)ドキドキしながら受話器を取ったら、「河瀬が原稿を見て、私の映画を私と同じくらい考えているこの人は何なの?」って思ったと。「つきましては、次の映画のヒロインにもディスクライバーにしたいと思っているので取材をさせてください」ということだったんです。


-松田さんは、映画『光』の、まさに生みの親であるわけです(笑)でもそこで監督がディスクライバーに対して「映画に真摯に向き合ってくれる人」と評価してくださったというのは、私たちも長年活動を続けてきた中でもそんな瞬間はなかなかないことなのでとても感動しました。


松田:嬉しかったです。本当に。


-で、そのディスクライバー役の主演が水崎さんとなったわけですが、監督からオファーを受けた時、最初はいかがでしたか?


水崎:急に「河瀬監督の映画のオーディションに行ってください」と言われて今回の台本から2ページ分程をいただいた状態でオーディションに臨んで、結果として受かったんですけど、後日急遽「音声ガイドを実際に書いてください」と言われたんです。「音声ガイド」って何だろう?っていう疑問を抱いた時に松田さん達とはじめてお会いしました。


-心の準備をする間もなく?(笑)


水崎:はい(笑)


松田:で、3日後か4日後くらいに「視覚障碍者の方3名ほど呼んで、モニター会がありますのでそれまでに仕上げてください」と(笑)


水崎:Excelを使った事がないので、文字を打ち込む作業も難しかったですし、音声ガイドが何なのかも分かってないし、松田さんみたいにきれいな言葉のボキャブラリーもない。もうてんやわんやで…その状態でモニター会に臨みました。映画でご覧になったようなモニター会よりもっと激しかったかな(笑)


-3人のベテランのモニターの方がいて大変でしたね。オーディションから5日目の事だったんですか?


水崎:それはもう、本当に怒涛の日々でした。


松田:私は「ヒロインが決まったので会わせたい。音声ガイドの仕事を教えてあげてください」とのことで配給さんの会議室へ呼ばれました。私は普段どのようにするのかを伝えるだけなのかなと思ってたんですけど、美しい方がちょろりんといらっしゃって(笑)今思うとすごく、きょとんとされてましたよね。


水崎:私はあの時、見学程度の感じで捉えてたので、その時初めて「作ってください」って言われたわけですよ(笑)だいたい河瀬さん以外の作品は「作る方」が間に入られて…美術さんや専門の方の力をお借りしてやるんですけど、ゼロからの状態でやった事がなかったもので、凄い集中力でした、私(笑)


松田:女優さんはこうなんだー!と思いましたよ。「もうExcelも全然だし」と言いながらも、やり始めれば、覚えが早くて。気付けば、キーボードをたたく音が、カチカチカチカチ…もう私は別のことしてましたもん。「なんかもう凄く集中してるから大丈夫そうね」みたいな。


水崎:あの時初めて「F10」キーの使い方を知りました。本当に何も知らなかったので(笑)


-奈良の撮影に入る前に、擬似モニター会をやるにあたって、チュプキ2階のスタジオ兼セミナールームで、私たちシティ・ライツ所属の視覚障碍者3人のうち、映画に出られていた田中正子さん(以下、正子さん)もいらしてたんですけど、そこでその時、もう美佐子さん(水崎さんの役名)、ものすごい綺麗な涙を流されて(笑)


水崎:嗚咽出るくらい泣きました(笑)


松田:悔しかったんですね。


-「私は目が見えなくなったことなんかないし、どうしていいのか分かんない」って。でもそれを横で見ていた河瀬監督と、カメラマンの方が「よしよし、間違いないぞ!」となっていましたね。撮影が奈良だったので、関西の視覚障碍者の方がモニター役としていらっしゃるんだろうと思っていたら、擬似モニター会の時正子さんがおっしゃっていた「私たちの視えてる世界は、もっと大きいんです」という言葉をきっかけに、河瀬監督が「ぜひ、正子さんを」ということで、急遽奈良へ。私も一緒に付いて行くことができて、永瀬正敏さんとお会いすることができました。ありがたき幸せだったんですけど(笑)

水崎:大変でしたね。撮影自体は1ヶ月だったんですけど、その1ヶ月半くらい前から音声ガイドに専念していて(笑)


松田:あの、映画の部屋の中に住まわれていて、そこで書いていたんですか?


水崎:私は、机よりも地べたが好きなので、ソファー側のとこにもたれてながらパソコン引っ張ってきて書いてました。一番最後の上映会の1週間前くらいですかね?『その砂の行方』の音声ガイド提出日だったんです。「もう間に合わないから」って徹夜して朝、松田さんとSkypeで久々にお会いできると思っていたら編集内容が変わってたんです(笑)…1箇所変わるだけで全く違う音声ガイドになるのに、まったく違う『その砂の行方』が上がってきたのでそこからさらに8時間位ずっと書いてました。ご飯も食べずに!(笑)


-もう本当に凄い集中力ですよね。


松田:そうなんですよ、私は書くことだけ仕事にすればいいよねって思ってたんですけど、水崎さんは昼間は女優業をやっているのに、どうやってこなしているの?みたいな(笑)


-やっぱり河瀬監督がそうさせたんでしょうかね?出演された皆さんが「魂を持って行かれる」とおっしゃるけど。どうでしたか?


水崎:もう本当に持って行かれましたね。普段の撮影と全然違いますから。そのあと違う映画の現場にいる時に「用意、スタート」があることにちょっと驚きました。あっ、映画って普通はこうだなって(笑)


-逆に驚いたんですね(笑)


水崎:「河瀬スタイル」にどっぷりはまっていたので。それから、他の連ドラや映画に出演した時に「もう何が正解なのかわからない」っていうモヤモヤ感とずっと戦ってたんですけど、河瀬さんの演出にM心がくすぐられてみたいなのがありました(笑)そこまで集中して、あとは役に没頭できる現場があるというのはほとんどないと思うので「ありがたい」なっていうのがありますね。


松田:Twitterで「幸せだった」とつぶやいた事がありましたよね。


-監督は、信頼されるんですよ。だから絶対指導しないというか、待ちますよね。


水崎:待たれましたね。


-私が水崎さんとご一緒したのはモニター会のシーンだけですが、水崎さんがどう演じて良いか迷って悩んだところでずっとね、監督こう座って(正座のポーズ)ずーっと待ってましたもんね。答えを…「これはいつまで続くんだろう?」って思いました(笑)


水崎:ずーっと、ずーっと無口でしたね。私も美佐子みたいに気が強いところがあるので、自分で答えが分からないまま監督に「イエス」って言いたくなかったんです。特に監督には嘘がばれちゃうだろうと思ったので全てのシーンで嘘がつけないなって。なので自分の答えが出てくるまでずーっと監督と見つめ合うって状況に。


-見つめ合ってて、これは、声かけていいのかどうしようかって。でも周りのスタッフも「待ってください」と。2人だけで対峙して見つめ合っていたのが印象深かったです。


松田:「こうして欲しい、ああして欲しい」というのはなかったんですか?私はそんな風になったら「答え出さなきゃ」ってなりますけど、そういうことでもなく水崎さんは水崎さんで、自分の答えが出るのを待っておこうっていう感じ?


水崎:はい。焦っても出ないんだろうなと思ってたんで、きっとその正解じゃないのを出してもまた次やんなきゃいけないのであれば、ちょっと待とうかなっていう風に構えてました。「この作品では泣かない」って決めてました。


-凄いピュアだから(笑)


松田:監督としてはきっとその瞳から涙が出る画を撮っておきたんじゃないでしょうか。


水崎:泣こうとして泣いたことは人生の中で一度もないんですけど、何か出ちゃうんです。泣き虫なんですかねぇ。嬉しくても悲しくても結構涙が出ちゃうタイプで…だからこそ今回は泣かないように心がけたのと、はじめて音声ガイドを任されたというのもあったので、なるべく上手く読まないっていうところにも心がけたというか、はじめてだから緊張もするだろうし、モニター会で音声ガイドを入れる時に声を震わせるわけじゃないですけど、そういった気構えでガイドをやってましたね。


-確かに「うまくやろう」としても、河瀬監督が求めているのは形じゃないからね。凄い「生感」だったり。そういうのじゃないとOKいただけないですよ(笑)


松田:うまくやろうって思ってたら延々やることになると思うんで、うまくやろうとする事をやらないってことでしょうね。


-永瀬正敏さんとの共演はどうでした?


水崎:永瀬さんと同じシーンになるまで別々の控室だったり、別々の場所で待機だったりしたのであまりお会いしてないんです。焼きそばをつくるシーンや、モニター会とか、山のシーンぐらいでしょうか。途中まで永瀬さんではなく雅哉(永瀬さんの役名)さんというイメージで接していたので、本当の永瀬さんがどういう方なのが、まだ分からないんです(笑)


-そうなんだよね。私たちも関わる人みんな役名で最初呼んでくださいって言われて、だから美佐子美佐子って呼んでましたよね(笑)完全にその役に入っちゃうんですね。


松田:クランクアップの日だけ私行ったんですけど、永瀬さんが監督に「もうこれ以上何も出ませんよ」っておっしゃったんです。本当にそれを言う事ってあるんだなぁ、凄いなぁって(笑)


-しぼり取られたみたいな(笑)苦労された一番印象深いシーンとかってありますか?


水崎:基本的に台本は無しの現場だったので。


-そうでしたね…衝撃の真実を(笑)


水崎:クランクアップ1週間前くらいにはじめてすべての台本をいただいて「こういう話しだったんだ」とか、永瀬さんと私が別行動をしていた時に「あっ、こういう事があったんだ」っていうのを知ったんですよ。美佐子では一番知ってるはずなのに、本当は私が一番知らないっていう(笑)視聴者の人と一緒の気持ちで「あっ、だからあのシーンで優しくしなきゃいけなかったんだ」とか、そういうのがありましたね。あと台本に書いてあることをそのまま演じると監督に注意されるんですよ。そこが一番難しくて…通常役者は台本以外のことをやるとダメで、「台本のある中で自由にやってこそ」みたいな感じで私は長年やってきたので、よっぽど言いづらい台詞でない限り語尾とか変えたことがなかったのですが、『光』の現場で台本通りにやると、監督から注意されて「何で美佐子は帰ってしまうの?」って。歩道橋で写真の「夕陽のところに連れてってください」と美佐子がお願いするシーンがあったんですけど、そこの歩道橋まで一緒に帰ってきて、見送って、踵(きびす)を返して帰っていく。そうすると台本では、そのあと雅哉さんが、目が見えない自分に怖くなってしまうというシーンだったんです。私が帰らないと、次の場面に進まないですし・・。どうしたらいいか、かなり迷いました。難しかったです。


-劇映画だけどドキュメンタリー映画みたいですね。もう河瀬監督に関してはね。


松田:では、正子さんと水崎さんはアドリブだったんですね?


-モニター会のシーンだけで朝7時から夜8時位まで撮ってたでしょ?で、毎回アドリブだから、その状態で何回も同じことをやるのは苦しいですよ。水崎さんのつくった音声ガイドの細かいところまでチェックされてたからかなり心が折れたんじゃないかと思いましたが…?


水崎:かなり心が折れました。これは美佐子として言われているのか、自分に言われているのか?で、ずっとガイドについて何かいい言い回しがないか、言葉を探してましたね。携帯や辞書とかでオノマトペを調べてみたりとかして。


-もうディスクライバー魂の塊みたいになってますね(笑)だって2回目のモニター会の撮影が終わって私と正子さんが奈良から東京へ帰るって時に「私、正子さんに認められる音声ガイドを書きたいです」って言って(笑)私ね、このままじゃ、雅哉に恋しなくて、正子に恋したんじゃないかと心配した位でしたが(笑)


水崎:雅哉さんの気持ちも知ってますけど、やっぱり何とかして正子さんに認められたいという(笑)


-クランクアップの時に正子さんが「あのあとどうなったかな?」ってすごい気にしてましたね。


水崎:音声ガイドの監修も大変ですよね、「音声ガイドの音声ガイド」になっている状態でしたし。


松田:『この砂の行方』は、美佐子さんの原稿が届いて2日後に赤修正点を加筆したものをおろしてくださいというオーダーだったんですけど、すごい時間かけて書いてるなという状態だったので、それに対して正直修正点を入れるというのは凄く時間がかかりました。しかも、同じくらいのキャリアがある者同士だと修正点も入れやすいですけど、水崎さんははじめてだし、すごい渾身で書かれているのが分かるので、私も気分としては美佐子になってしまった感じです(笑)


-もう、魂持ってかれてたもんね。


水崎:そうなんです。


松田:それで、本編出来上がりました、「じゃぁ、音声ガイド作ってください」ってなって、本当にすっごく大変でした(笑)


-『その砂の行方』終盤の「そして、光」という言葉だけは決まってたんですよね。音声ガイドはここに繋げてくださいっていうオーダーで作られている。で、普通に考えるとああいう詩的なガイドはなかなか書かないでしょう?


松田:はい。「おおむね良好です。最後だけこうしたいんです。こういう風に合わせられますか?」ってかたちで修正することになりました。「え?」って戸惑ったんですけど、あっそうだな。「そして、光」だなって。きれいに終わることができるよう書き直しました。


-そうだったんですね。あの音声ガイドは、樹木希林さんが読むっていうのは誰も知らされてなかったと聞いています。何のタイミングで知ったんですか?


水崎:上映会です。


-クランクアップの日に?


水崎:私の書いた音声ガイドはモニター会のシーンで共演された大塚千弘さんが読まれていて・・・あ、樹木希林さんが読んでる!という感じでした。


松田:私はスタジオで希林さんにディレクションをさせていただきましたので希林さんが読むのは知ってました。急遽収録途中で、スタジオに河瀬監督が現れてね(笑)「大塚千弘さんと樹木希林さんと2人で読んでもらいます」って。で、私も「はい」って言って、まず大塚千弘さんが上手に読まれたんですけど希林さんが現れて「えっ、私なにするの?」っておっしゃってて(笑)でも最終的には掴んでくださって、いやー本当にありがたかったです。なぜ大塚さんの声を録ったのかというと、上映会の日に、リハーサルで何度も何度もエキストラの皆様が入場するシーンを撮るんです。その中で、座席に座って『その砂の行方』の「浜名湖を見渡す景色?」という音声ガイドを聴くというシーンも何回もやってて、「じゃぁ、最後本番やります」ってなった時に、そこではじめて永瀬さんが入ってくるシーンになるんですが、そこではじめて音声ガイドの声が樹木希林さんだったものだから、みんなそこで「!!!」ですよ。


(会場どよめく)


-そういうことがあったんですね。さて、今日は折角お客様もいらっしゃっています。何か質問のある方はご遠慮なくどうぞ。


お客様A男性:水崎さんへ質問です。今回の映画はオーディションで決まったそうですが、河瀬監督はそれ以前の水崎さんをご存知だったんですか?


水崎:ご存知でなかったと思います。決まったいきさつを後に聞いたんですけど、オーディション2日目に選抜者が何人か残ってる中で呼び出されて、永瀬さんもいらっしゃる中で「自分の仕事に対して意見をぶつけられた事に対して怒りを表現してください」と言われたんです。今思えばモニター会のシーンだったのかとなりますけどね。何も嫌なことを言われたわけでもないし、想像だけで怒るのも何か違うんじゃないかと思いました。怒る技術は少なからず持っているのでそれを出せばよかったんですけど、それを出して果たして何かこの河瀬監督に通じるのだろうかって…そう思ってたら10?15分くらいずっと黙っちゃって(笑)何か怒るまで待とうって。思ってたらそのくらい時間が経ってしまって。結果怒れませんでした。でも「怒れなかったからよかった」と評価されました。普通、オーディションで10分も黙ってたら「帰れ」って言われちゃうので「それをやれるあんたは凄い」って感じで(笑)そこを評価していただいたので自分の気持ちのまんま行けてよかったなぁと思いました。


お客様A男性:ありがとうございました。


-はい、他にありますか?


お客様B女性:先ほど「そして、光」で終わる音声ガイドは普通ないとおっしゃっていましたが、それは、実際の視覚障碍者の方はどのように評価したんですか?本人じゃないので想像になっちゃうと思うんですけど。


松田:正子さんは、そんなに気にならないと思うんです。綺麗に終わったと思うんです。このシーンは、実はもっと長かったんです。ドローンで空撮した映像がずーっと続いてるのに「そして、光」となるので、正子さんからは「実はそこに何が映ってたの?」と聞かれました。結果的に編集でそのシーンはパスっと切れてるのでそんなに違和感ないんじゃないかと思います。


-今日は視覚障碍者の方いらっしゃいますか?リアルに聞いてみましょうか?


お客様C女性:マイクをふられて怖いです(笑)最初のモニター会のシーンのはじめてガイドを作る場面で、はじめて観た時は、「何でここで終わるんだろう?」と、頭の中にはてなマークが出るほど不思議な気持ちになるんですけど、音声ガイドをつくる過程を追うと、最初の美佐子さんは登場人物の表情(画)の事を言ってましたよね。「希望に満ちている」とか。だからああ、表情のことを言ってるんだなと思ったけど、最後は、観る視点を変えたっていうか表情(画)を観るんじゃなくて、景色?でその表情を表現してくれたというのが「ああ、凄い!」って思いました。あまり聞いたことのない詩的なガイドで私はすごく好きでした。


-はいありがとうございました。樹木希林さんのガイドもね、朗読的な読み方ですよね、ナレーション的というよりは。


松田:全部で5テイク撮ったんですけど、結局は最初に撮ったのが一番良いということで、結局最初に戻しました。


-では今日ご登壇されてるお二人に、お客様に向けて何かメッセージがございましたら一言お願いいただけますか?


松田:私もようやく映画『光』の公開から時間が経って、自分の中で色々なことを理解している最中です。皆さんも映画をご覧になって頭の中に色々あると思うんですけど時間をかけて考えていけたら良いなと思ってます。


水崎:最後の挨拶はすごく苦手なんですけど(笑)なんだろう、考えさせるメッセージ性の強い作品になったと思います。目が見える方も「目をつぶって観たくなる作品でした」と感想をいただきました。目が見える方は、自分の想像力を含めて、今日はじめてご覧になった方も次はそういった感じで観ていただけたら嬉しいです。また、音声ガイドの作品を初めてご覧になる方も沢山いらっしゃると思いますし、松田さんが音声ガイドの仕事をはじめられたきっかけを少し話してくださったんですけども、映画を視覚障碍をお持ちの方と一緒に観るようになったことがすごく素晴らしいので、今そういったガイドがたくさん増えているんですよね?


松田:はい。


水崎:そういったものがどんどん増えて視えるとか視えないとか関係なく、映画を本当にいろんな方に楽しんでいただける娯楽にしていきたいなって。私はそのアクティングを頑張ってそういうふうに広めていけたらなと思ってます。なので、私としては、いい音声ガイドがつけられるいいお芝居をしていきたいと思っていますで(笑)今後ともどうぞよろしくお願いします。


-今日はありがとうございました。


(写真:阪本安紗美)


●パラブラ株式会社

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