2017年2月15日
ニーゼと光のアトリエの音声ガイドを作り始めのは12月中旬。
出来上がったのが、2月1日の定休日でした。
※音声ガイドとは、視覚に障害がある人でも映画がわかるように、セリフと台詞の合間に場面説明するものです。
洋画に関しては、字幕の音声も伝えなければなりませんので、吹き替え朗読を一緒にミックスダウンしています。
製作期間中、電車の移動中では、映画本編の音をひたすら聞き、家でも音声ガイドの事を考え込みました。
ですが、どんな言葉をはめ込んでも全くフィットせず、自分の声で仮の音声ガイドを入れて聞いてみたりしましたが納得できず、かなりの時間を要しました。
とにかくこれ以上は出ないという自分の限界まで追い込む事が、作品に対して最大限の誠意のように思っていたのかもしれません。
部屋の中でもずっと何かを呟いて、寝言でも音声ガイドのことを言っていた1ヶ月半、言葉の限界と不自由さを痛感しました。
ニーゼは、特殊なケースでしたが、音声ガイドは、シーン毎に、星と星を結んで、星座と名付けるような行為だとも思いました。
音楽で言うなら原曲にアレンジを加えたり、ストリングスをはめ込むような感覚に近い部分があるのかもしれません。
どちらにしろ、原音に何かを加えるという事は、テンポ感やバイオリズムを変えてしまいます。
作品に踏み込むのであれば、1つ1つ向き合い、覚悟を持つべき事もやめてはいけないと思います。
今でもまだ作品から抜け切れていません。来ていただいたお客様からは、お褒めの言葉を頂いておりますが、僕はまだ、自分の書いた音声ガイドの原稿に、納得出来ていません。
『ニーゼと光のアトリエ』は、とても素晴らしい作品ですが、史実をもとにして作られた作品なので、爽快なラストではありません。
ですが、リアリティの狭間に見える微かな希望を、アートを通して感じ取れてる秀作です。
出来たと終わらせてしまう事自体、作品の伝えたい本質とは異なるエネルギーだとも思ってます。
なのでこの先もずっと『ニーゼと光のアトリエ』という作品を抱えたまま生きていたい。
視覚に障害がなくても座席についてあるジャックに、イヤホンを挿して頂けたらどなたでも聞けます。
是非音声ガイド聞いてみて頂けたら嬉しいです。皆様のご来場心よりお待ちしております。